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ASEANのコールドチェーンの現在と未来 BUKKEN

2026.04.09 08:00

【ASEANの冷凍倉庫事情】

成長市場のチャンスと、まだ埋まっていない物流インフラの現実

ASEANのコールドチェーン、特に冷凍倉庫分野は、いま非常に注目されています。
背景にあるのは、食品需要の高度化、外食・小売の近代化、医薬品物流の拡大、そして食品ECやクイックコマースの成長です。

一方で、ASEANの冷凍倉庫市場は「伸びている市場」であると同時に、まだ整っていない市場でもあります。
つまり、需要は強い。しかし供給インフラや運営品質には、まだ大きな伸びしろがあるということです。


ASEANの冷凍倉庫市場は、なぜ伸びているのか

理由は大きく4つあります。

1. 所得上昇と都市化

都市部を中心に、冷凍食品、加工食品、輸入食品への需要が高まっています。
生活水準が上がるほど、「温度管理された食品を安全に届ける仕組み」が必要になります。

2. 現代小売の拡大

スーパー、コンビニ、外食チェーンの成長は、冷凍・冷蔵物流インフラを必要とします。
単に保管するだけではなく、安定供給できる冷凍倉庫機能が重要になります。

3. 輸出産業の強化

ASEANは水産物、食肉、果物などの輸出競争力が高い地域です。
そのため冷凍倉庫は、保管機能だけではなく、輸出品質を維持するための基盤でもあります。

4. 食品EC・医薬品物流の成長

ECの拡大によって、小口かつ高頻度の冷凍・冷蔵配送ニーズが増えています。
これに伴い、倉庫から配送までを一体で管理できるコールドチェーン体制の重要性が増しています。


ASEANは「ひとつの市場」ではない

ASEANの冷凍倉庫市場を考えるうえで大切なのは、
ASEANを一括りに見ないことです。

国によって、

  • インフラ整備状況
  • 電力事情
  • 港湾・道路事情
  • 食品市場の成熟度
  • 物流会社のレベル

が大きく異なります。

つまり、ASEAN市場を見るときは、
「ASEAN全体が伸びている」という見方だけでは不十分で、
国ごとの物流事情を理解することが欠かせません。


国別に見るASEANの冷凍倉庫事情

インドネシア

インドネシアは、ASEANの中でも市場規模の大きさが魅力です。
ただし、群島国家であるため、冷凍倉庫単体の話ではなく、島間輸送を含めた物流ネットワーク全体で考える必要があります。

つまりインドネシアでは、
倉庫の立地と輸送網の設計が非常に重要です。

ベトナム

ベトナムは、食品加工業や輸出産業の成長に伴い、冷凍倉庫需要が高まっています。
一方で、まだ供給能力が十分ではなく、フルサービス型のコールドチェーン事業者も限定的です。

そのため、今後の伸びしろが大きい市場だと言えます。

フィリピン

フィリピンは熱帯気候であり、冷凍・冷蔵物流の潜在需要は非常に高い市場です。
ただし、電力コストや地域偏在、港湾インフラなどの課題が残っています。

需要はあるが、安定運用のためにはハードルも多い市場です。

タイ

タイはASEANの中でも比較的整った物流基盤を持ち、食品加工・外食・輸出産業との連動も強い国です。
冷凍倉庫市場としての成熟度は比較的高く、周辺産業も厚みがあります。

そのため、物流品質や運営力で差が出やすい市場とも言えます。


ASEANの冷凍倉庫市場に共通する課題

ASEAN全体に共通する課題は、主に4つあります。

1. 電力コストと安定供給

冷凍倉庫は電力消費が大きいため、電力価格が高い国では採算性に直結します。
また、停電リスクや電力品質も大きな課題です。

2. 都市部と地方部の格差

首都圏や港湾近辺には設備が集中しやすい一方、地方や産地では冷凍倉庫インフラが不足しやすい傾向があります。

3. フルサービス事業者の不足

単に冷凍保管ができるだけではなく、

  • 温度管理
  • 在庫管理
  • WMS運用
  • 配送
  • トレーサビリティ

まで一体で提供できる事業者は、まだ限られています。

4. デジタル化と標準化の遅れ

冷凍倉庫市場では、ハード面だけでなく、運営の見える化や標準化も重要です。
ここが弱いと、ミス・ロス・品質ブレが起きやすくなります。


日本企業・物流会社にとっての示唆

ASEANの冷凍倉庫市場を見るときに重要なのは、
**「倉庫を持つこと」より「物流をどう運営するか」**です。

今後、差が出るのは次のような力です。

  • 多温度帯の運用力
  • 食品安全基準への対応力
  • 在庫・温度の見える化
  • 港湾・空港・内陸輸送の接続力
  • 繁忙期や波動への対応力
  • 365日運用を支える体制

つまり、ASEAN市場では「倉庫の大きさ」よりも、
運営品質と物流設計の力が問われる時代に入っています。


まとめ

ASEANの冷凍倉庫事情は、ひと言でいえば

「需要は強いが、供給と運営品質にはまだ差がある市場」

です。

市場全体は成長しています。
しかしその中で、本当に競争力を持つのは、単に冷凍倉庫を持っている会社ではなく、

  • どこで
  • 誰に
  • どの温度帯で
  • どの品質レベルで
  • どうつなぐか

を設計できる会社です。

これからのASEANでは、
冷凍倉庫は単なる保管施設ではなく、
食品流通の信頼を支える物流インフラとして、さらに重要になっていくでしょう。

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