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HACCP×物流について~食の安全安心を守る物流現場の考え方~

2025.11.15 08:30

HACCPと物流の正しい関係

〜食品EC時代の“安全品質”は、物流現場で決まる〜


■ はじめに:HACCPは「製造業だけのもの」ではない

HACCPは本来、食品工場のための「衛生管理手法」として知られています。
しかし、2021年以降の制度化により、食品を扱う 倉庫業・物流会社・EC事業者 にも実質必須となりました。

特にいま伸びている

  • 食品EC

  • 低温食品のD2C

  • 冷凍食品のサブスク
    では、物流工程そのものが“食品製造の延長”として見なされる時代です。

  つまり、食品を保管し、仕分けし、届ける物流工程こそが、HACCPの重要ポイントになっている。


■ 1. なぜ物流にHACCPが必要なのか?

理由はシンプルです。
食品は「作る」だけでなく、「保つ」「届ける」工程が安全性を左右するからです。

物流で起こりやすいリスクは以下の通り:

● 温度逸脱

冷凍・冷蔵の温度が、

  • 積み替え

  • 時間のバース待ち

  • 不適切な庫内配置
    で変動しやすい。

● 交差汚染

異物混入・におい移り・アレルゲン混入など。
保管エリアの区分けが不十分な倉庫では特にリスクが高い。

● 手指・器具の衛生

ピッキング・検品時の衛生管理が疎かだと汚染リスク増大。

● 先入先出ミス(FIFO)

在庫の停滞・消費期限切れによる廃棄も品質事故の一種。

だからこそ、物流工程にHACCPの考え方を組み込む必要があります。


■ 2. 物流現場におけるHACCP導入の基本

HACCPは難しそうに聞こえますが、物流で重要なのは次の3点です。


工程を分解し、危害要因(リスク)を洗い出す

例:食品の入庫 → 保管 → ピッキング → 検品 → 出荷

各工程で

  • 温度

  • 交差汚染

  • 異物混入

  • 衛生
    のリスクが何かを明確にします。


CCP(重要管理点)を決める

物流の場合の代表例は:

  • 温度管理(冷凍-18℃以下、冷蔵10℃以下など)

  • 衛生区域の区分

  • アレルゲン混入の防止

CCPは「絶対に外してはいけないポイント」を意味します。


記録と検証をルール化する

HACCPの本質は「証拠」が残ること。

  • 温度記録

  • ロット/期限管理

  • 清掃記録

  • 作業手順書

  • 監査チェック

  • トレーサビリティ台帳

これらを運用し、定期的に見直します。

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■ 3. HACCPを実現するための“物流現場の実務”

ここからは現場視点の具体策です。


● 温度管理(最重要)

  • 入庫時の温度測定

  • 積み替え時間の短縮

  • 庫内の風の流れを考えたロケーション決め

  • 出荷バースでの温度逸脱防止

  • 温度記録の自動化(温度センサー・クラウド管理)

冷凍・冷蔵食品ECでは温度の一瞬の乱れ=クレーム・返品につながります。


● 区分管理(交差汚染防止)

  • 冷凍・冷蔵・常温のゾーニング

  • 加工食品/生鮮/アレルゲンの区分

  • 外箱汚れ・臭いの強い商材は別エリア

  • 掃除・消毒の基準化

“何をどこに置けるか”がルール化されている倉庫は強い。


● 先入先出(FIFO)徹底

  • ロケーション連動のWMS

  • ロット追跡

  • 消費期限アラート

  • 賞味期限別棚管理

食品ECでは 「期限切れ事故=即ブランド崩壊」 です。


● 衛生管理

  • 手袋・帽子・マスクの着用ルール

  • 入庫・出荷エリアの区画消毒

  • 作業者の体調管理

  • 異物混入リスク(ホコリ、虫)の防止策

特にECはレビュー文化のため、衛生問題は致命傷になります。

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■ 4. EC事業者と物流会社のHACCP連携が必須の時代

食品ECの急増により、

「物流を丸投げ」から「連携するパートナー」へ
役割が変化しています。

EC事業者が求めるのは:

  • 温度・在庫データの可視化

  • 賞味期限別の在庫管理

  • 返品食品の安全処理

  • 物流センターの衛生基準の見える化

  • HACCPに沿った作業証跡

HACCPを理解した物流会社は、
食品ECと強い“パートナーシップ”を作れるのが最大のポイントです。


■ 5. HACCP対応物流センターの価値が高まる

2025年以降、とくに以下のEC分野で需要が急拡大しています。

  • 冷凍食品EC(ミールキット・弁当・スイーツ)

  • 生鮮EC(野菜・精肉)

  • 地方名産品EC

  • 健康食品・サプリメント

  • 高級食品ギフト

これらは「品質=ブランド価値」なので、
HACCP対応の物流センターは選ばれる理由になります


■ まとめ:食品ECの未来は“安全な物流”が支える

HACCPは単なる衛生ルールではなく、
食品ECの信頼を守る“品質保証の仕組み”です。

  • 温度

  • 衛生

  • 交差汚染

  • 在庫管理

  • トレーサビリティ

これらを徹底できる物流企業こそ、
食品EC市場で最も価値が高まる存在です。

ECがどれだけ進化しても、

最後に食品を守るのは「現場の管理」と「運用の仕組み」。
これからの食品ECを支えるのは、HACCPを理解した物流現場です。

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