HACCP×物流について~食の安全安心を守る物流現場の考え方~
HACCPと物流の正しい関係
〜食品EC時代の“安全品質”は、物流現場で決まる〜
■ はじめに:HACCPは「製造業だけのもの」ではない
HACCPは本来、食品工場のための「衛生管理手法」として知られています。
しかし、2021年以降の制度化により、食品を扱う 倉庫業・物流会社・EC事業者 にも実質必須となりました。
特にいま伸びている
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食品EC
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低温食品のD2C
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冷凍食品のサブスク
では、物流工程そのものが“食品製造の延長”として見なされる時代です。
つまり、食品を保管し、仕分けし、届ける物流工程こそが、HACCPの重要ポイントになっている。
■ 1. なぜ物流にHACCPが必要なのか?
理由はシンプルです。
食品は「作る」だけでなく、「保つ」「届ける」工程が安全性を左右するからです。
物流で起こりやすいリスクは以下の通り:
● 温度逸脱
冷凍・冷蔵の温度が、
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積み替え
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時間のバース待ち
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不適切な庫内配置
で変動しやすい。
● 交差汚染
異物混入・におい移り・アレルゲン混入など。
保管エリアの区分けが不十分な倉庫では特にリスクが高い。
● 手指・器具の衛生
ピッキング・検品時の衛生管理が疎かだと汚染リスク増大。
● 先入先出ミス(FIFO)
在庫の停滞・消費期限切れによる廃棄も品質事故の一種。
だからこそ、物流工程にHACCPの考え方を組み込む必要があります。
■ 2. 物流現場におけるHACCP導入の基本
HACCPは難しそうに聞こえますが、物流で重要なのは次の3点です。
① 工程を分解し、危害要因(リスク)を洗い出す
例:食品の入庫 → 保管 → ピッキング → 検品 → 出荷
各工程で
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温度
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交差汚染
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異物混入
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衛生
のリスクが何かを明確にします。
② CCP(重要管理点)を決める
物流の場合の代表例は:
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温度管理(冷凍-18℃以下、冷蔵10℃以下など)
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衛生区域の区分
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アレルゲン混入の防止
CCPは「絶対に外してはいけないポイント」を意味します。
③ 記録と検証をルール化する
HACCPの本質は「証拠」が残ること。
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温度記録
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ロット/期限管理
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清掃記録
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作業手順書
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監査チェック
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トレーサビリティ台帳
これらを運用し、定期的に見直します。
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■ 3. HACCPを実現するための“物流現場の実務”
ここからは現場視点の具体策です。
● 温度管理(最重要)
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入庫時の温度測定
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積み替え時間の短縮
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庫内の風の流れを考えたロケーション決め
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出荷バースでの温度逸脱防止
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温度記録の自動化(温度センサー・クラウド管理)
冷凍・冷蔵食品ECでは温度の一瞬の乱れ=クレーム・返品につながります。
● 区分管理(交差汚染防止)
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冷凍・冷蔵・常温のゾーニング
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加工食品/生鮮/アレルゲンの区分
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外箱汚れ・臭いの強い商材は別エリア
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掃除・消毒の基準化
“何をどこに置けるか”がルール化されている倉庫は強い。
● 先入先出(FIFO)徹底
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ロケーション連動のWMS
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ロット追跡
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消費期限アラート
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賞味期限別棚管理
食品ECでは 「期限切れ事故=即ブランド崩壊」 です。
● 衛生管理
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手袋・帽子・マスクの着用ルール
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入庫・出荷エリアの区画消毒
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作業者の体調管理
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異物混入リスク(ホコリ、虫)の防止策
特にECはレビュー文化のため、衛生問題は致命傷になります。

■ 4. EC事業者と物流会社のHACCP連携が必須の時代
食品ECの急増により、
「物流を丸投げ」から「連携するパートナー」へ
役割が変化しています。
EC事業者が求めるのは:
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温度・在庫データの可視化
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賞味期限別の在庫管理
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返品食品の安全処理
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物流センターの衛生基準の見える化
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HACCPに沿った作業証跡
HACCPを理解した物流会社は、
食品ECと強い“パートナーシップ”を作れるのが最大のポイントです。
■ 5. HACCP対応物流センターの価値が高まる
2025年以降、とくに以下のEC分野で需要が急拡大しています。
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冷凍食品EC(ミールキット・弁当・スイーツ)
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生鮮EC(野菜・精肉)
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地方名産品EC
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健康食品・サプリメント
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高級食品ギフト
これらは「品質=ブランド価値」なので、
HACCP対応の物流センターは選ばれる理由になります。
■ まとめ:食品ECの未来は“安全な物流”が支える
HACCPは単なる衛生ルールではなく、
食品ECの信頼を守る“品質保証の仕組み”です。
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温度
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衛生
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交差汚染
-
在庫管理
-
トレーサビリティ
これらを徹底できる物流企業こそ、
食品EC市場で最も価値が高まる存在です。
ECがどれだけ進化しても、
最後に食品を守るのは「現場の管理」と「運用の仕組み」。
これからの食品ECを支えるのは、HACCPを理解した物流現場です。食品物流 EC発送代行に関するご相談はこちら
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